自宅でできるリハビリ体操④ 機器を使った運動と、顎の体操

シリーズ最終回は、当院のリハビリ室にある専用機器を使った運動と、自宅でもできる顎の体操をご紹介します。これまでの3回は道具を使わない体操が中心でしたが、今回は少し趣向を変えて、通院時に体験できる機器と、誰でも今日から始められる顎周りの体操をあわせてご紹介します。

■ 4DSTという機器をご存知ですか

当院のリハビリ室には、4DSTという機器があります。重さのついたロープを使い、反動と脱力を組み合わせながら関節をリズミカルに動かすトレーニング機器です。「ストレッチショートニングサイクル」と呼ばれる、筋肉が伸びてから縮む動きを繰り返すことで、柔軟性と動きの滑らかさを引き出します。自分の筋力だけで行うストレッチや体操とは違い、機器の重さと反動を利用するため、関節をリズミカルに大きく動かせるのが特徴です。実際に体験された患者さんからは、「自分では出せない動きの速さとリズムが心地よい」という声もよく聞かれます。

■ 4DST トータルショルダージョイント 肩

目的:肩甲骨周囲の柔軟性向上

方法:腕を下げながら掌と肘を外後方に向け、掌を自分に向けながら錘の重さに任せて腕を上方に持ち上げる動きを繰り返します。

注意点:痛みのない範囲で、はじめはゆっくり、徐々にリズミカルに。急に手を離さないようにします。

■ 4DST レッグプレス360° もも裏・坐骨神経

目的:脚後面筋の柔軟性向上、坐骨神経の滑走性向上

方法:股関節と膝を曲げながら膝を外側に向け、曲げ切った後つま先を自分に向けながら最終域まで蹴る動きを繰り返します。

注意点:骨盤を起こし、最後まで伸ばし切らず余力を残しましょう。坐骨神経痛のような、お尻から脚にかけてのしびれを伴う症状にも用いられる運動です。

■ 4DST トータルヒップジョイント 股関節

目的:股関節の柔軟性向上

方法:股関節と膝関節を曲げながら膝を少し外側に向け、最終域まで蹴りながらつま先と膝を内側に向ける動きを繰り返します。

注意点:骨盤を起こし、はじめはゆっくり、徐々にリズミカルに行いましょう。

これらの機器を使った運動は、自宅で同じ機器を再現することはできませんが、当院のリハビリの中で理学療法士が負荷や回数を調整しながら行っています。気になる方は、リハビリの際にぜひ体験してみてください。

■ 顎引き・顎の体操・あいうべ体操 首と顎のセルフケア

道具を使わずにできる体操として、顎周りのセルフケアもご紹介します。

顎引きは、良い姿勢で座り2本の指で顎を支えながら、頭部と顎を後方に引く体操で、首の痛み緩和や姿勢改善に役立ちます。顎の体操は、口を大きく開けて閉じる、下顎を左右に動かす、しゃくれて戻すといった動きで、頭痛予防や顎周りの柔軟性向上を目的としています。あいうべ体操は、「あー・いー・うー・ベー」と口を大きく動かしながら発音する体操で、口呼吸の予防や姿勢改善に役立つといわれています。いずれも、首や肩に力を入れずゆっくり大きく行うのがポイントです。

スマートフォンを見る時間が長く、うつむき姿勢が続いている方は、首だけでなく顎周りの筋肉も緊張しやすいため、あわせて取り入れてみてください。顎の体操やあいうべ体操は、回数や時間を決めずに、テレビを見ながらや、お風呂に入っているときなど、すきま時間に行うだけでも十分です。気がついたときに少しずつ続けることが、こわばりをためないコツです。

■ 4回シリーズ、ご覧いただきありがとうございました

今回ご紹介した体操は、当院で実際に患者さんへ指導している運動療法の一部です。すべての体操が、すべての方に適しているわけではありません。

体を支える筋肉や関節の状態は、年齢や生活スタイル、痛みの経過によって一人ひとり異なります。ご自身の症状に合った体操を知りたい方、正しいやり方を確認したい方は、診察やリハビリの際にお気軽にご相談ください。これからも、皆さまの毎日が少しでも楽になるよう、院内のリハビリと自宅でのセルフケアの両面からサポートしていきます。

この記事の執筆・監修

著者のプロフィール画像

寺田 哲Satoshi Terada

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医師/麻酔科専門医・ペインクリニック専門医

「痛み痺れを諦めない」をモットーに、日々診療にあたっています。最新のエコーガイド下治療やVR治療など、医学の力で患者さんの日常を取り戻すためのヒントと、日々の学びを綴ります。

略歴・資格

  • 2008年 埼玉医療センター麻酔科
  • 2014年 NTT東日本関東病院 ペインクリニック科
  • 2016年 静清リハビリテーション病院
  • 2019年 三島総合病院 ペインクリニック科 医長
  • ペインクリニック専門医 / 厚生労働省 麻酔科標榜医 / 健康スポーツ医

専門・研究

超音波ガイド下治療やVR治療の最前線で活動し、多くの学会(日本整形超音波学会、日本ペインクリニック学会、日本VR医学会等)でシンポジストや基調講演を務める。

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