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ばね指の治療選択、ステロイド注射と体外衝撃波療法の違いとは

2026年 08月 03日

指の付け根が引っかかる、伸ばしにくい――その症状、もしかして「ばね指」かもしれません

朝起きると指が曲がったまま伸ばしにくい、指を動かすとカクッと引っかかる感覚がある、力を入れると痛みが出る――このような症状に心当たりはありませんか。指をよく使う方や更年期以降の女性に見られやすい症状のひとつです。今回は、こうした症状の代表的な原因である「ばね指」の治療について、最近発表された研究をもとにご紹介します。

ばね指とは

ばね指(弾発指)は、指を曲げ伸ばしする腱が通る道筋である「腱の通り道(腱鞘)」に炎症が起こり、腱の動きがスムーズでなくなることで生じます。症状が進むと、指を伸ばす時にカクッと引っかかったり、指が曲がったまま戻りにくくなったりすることがあります。指の引っかかりが続く場合は、自己判断せず整形外科やペインクリニックなど専門の医療機関を受診することをおすすめします。

治療の選択肢:ステロイド局所注射と体外衝撃波療法

ばね指の治療としてよく行われているのが、腱の通り道にステロイドを注射する「ステロイド局所注射」です。比較的早く効果を実感しやすく、広く行われている治療のひとつです。

もうひとつの選択肢として近年注目されているのが「体外衝撃波療法(ESWT)」です。これは、皮膚の上から衝撃波を当てて組織の修復を促す治療で、注射や切開を伴わない点が特徴です。

研究で分かっていること:短期は互角、長期では差が見られたという報告

2026年に発表された研究では、症状の程度が中等度〜重度のばね指患者42例を対象に、体外衝撃波療法を受けたグループ(21例)とステロイド局所注射を受けたグループ(21例)を、6ヶ月・1年・2年という長期にわたって比較しています(J Hand Surg Eur Vol. 2026, PMID: 42487613)。

この研究では、次のような結果が報告されています。

  • 治療から6ヶ月の時点では、両グループとも同程度の改善が見られた
  • 1年・2年という長期でみると、体外衝撃波療法を受けたグループの方が、痛みの軽減がより長く続き、握力の改善も維持されやすい傾向があったという報告があります
  • 患者さんの満足度は、体外衝撃波療法群では安定していたのに対し、ステロイド注射群では低下する傾向があったと報告されています
  • 2年時点で手術に進んだ割合も、体外衝撃波療法群の方が低かったという結果が報告されています

ただしこの研究は対象が42例と少なく、参加者をランダムに振り分けたランダム化比較試験ではないため、参加者の選ばれ方による偏り(選択バイアス)が結果に影響している可能性があります。そのため、体外衝撃波療法がステロイド注射より優れているとまで言い切れるものではなく、今後さらに規模の大きな研究での検証が必要な、まだ研究段階の知見であることにご留意ください。

日本での実施状況について

体外衝撃波療法の保険適用の範囲や自由診療としての扱いは、対象となる疾患・部位によって異なります。ばね指に対する体外衝撃波療法の国内での取り扱いについては、受診を検討される医療機関に個別にご確認ください。

まとめ

ばね指の治療において、ステロイド局所注射は現在も広く行われている治療法のひとつです。そのうえで、今回ご紹介したような長期経過に関する研究報告は、注射を繰り返すことに抵抗がある方や、他の治療の選択肢を知っておきたい方にとって参考になる情報だと考えられます。

指の引っかかりや伸ばしにくさが続く場合は、症状が進む前に一度ご相談ください。症状の程度や体質、ご希望に応じた治療法についてご案内いたします。

参考文献

  • Suárez Cabañas AH, Ramírez Sánchez M, Álvarez Jiménez A, Santana Bañolas M, González Martín JM, García Castellano JM. "Beyond the first year: Long-term outcome of shockwave therapy versus corticosteroid infiltration in the management of trigger finger." J Hand Surg Eur Vol. 2026. PMID: 42487613

この記事の執筆・監修

著者のプロフィール画像

寺田 哲Satoshi Terada

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医師/麻酔科専門医・ペインクリニック専門医

「痛み痺れを諦めない」をモットーに、日々診療にあたっています。最新のエコーガイド下治療やVR治療など、医学の力で患者さんの日常を取り戻すためのヒントと、日々の学びを綴ります。

略歴・資格

  • 2008年 埼玉医療センター麻酔科
  • 2014年 NTT東日本関東病院 ペインクリニック科
  • 2016年 静清リハビリテーション病院
  • 2019年 三島総合病院 ペインクリニック科 医長
  • ペインクリニック専門医 / 厚生労働省 麻酔科標榜医 / 健康スポーツ医

専門・研究

超音波ガイド下治療やVR治療の最前線で活動し、多くの学会(日本整形超音波学会、日本ペインクリニック学会、日本VR医学会等)でシンポジストや基調講演を務める。

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