自宅でできるリハビリ体操③ 肩・腕・手のこわばりをとる体操

第3回は、肩から腕、手指にかけての体操です。デスクワークやスマートフォンの使用で、肩や腕がこわばっている方は少なくありません。長時間同じ姿勢が続くと、肩甲骨周りの筋肉が硬くなり、腕や手指の動きにも影響が及ぶことがあります。

■ 肩・腕のこわばりは姿勢にも影響する

肩甲骨周りの動きが悪くなると、姿勢が崩れたり、首や腰への負担が増えたりすることがあります。反対に、肩甲骨が動きやすくなると、腕全体の動きがスムーズになり、肩こりや疲労感が軽減することもあります。当院では、肩関節に痛みがある方だけでなく、姿勢改善を目的としたリハビリでも、こうした体操を取り入れています。

「肩が上がりにくい」「腕を後ろに回すと引っかかる感じがする」「手の細かい動きがしづらくなった」——こうしたお悩みは、肩・肘・手のそれぞれで原因が異なります。今回は、当院で実際に指導している体操の中から、部位ごとに代表的なものを選びました。

■ ① 胸のストレッチ 猫背改善

目的:胸筋群(大胸筋・小胸筋)の柔軟性向上、猫背改善

方法:壁と平行に立ち、足を前後に開きます。肘と肩の高さが同じくらいになるよう壁につき、胸を開く方向にひねって伸ばし、キープします。

注意点:反動をつけず、肩が上がらないようにしましょう。パソコン作業で胸が縮こまりやすい方におすすめです。

■ ② 肩甲骨回し 肩から腕の循環改善

目的:肩甲骨周りの柔軟性向上、肩から腕の循環改善

方法:片手を同側の肩につけ、肘で大きく円を描くように肩甲骨を後方にゆっくり回します。

注意点:胸を張り、良い姿勢を意識して行いましょう。仕事の合間の気分転換にも向いています。

■ ③ 振り子運動 肩の可動域拡大

目的:肩周囲組織のストレッチ、可動域拡大、脱力

方法:痛くない方の手を机の上に置き、体を前かがみにして痛みのある側の手を下に垂らします。体の反動を使い、腕を前後左右に揺らしたり、手を内外に回転させたりします。

注意点:腕の力で動かさず、肩から先は脱力させておきましょう。肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)の急性期以降によく用いられる体操です。

■ ④ 棒体操 姿勢改善

目的:姿勢改善、肩甲骨周りの柔軟性向上

方法:両手で棒(タオルや傘でも代用できます)を持ち、良い姿勢で座ります。バンザイをしながら胸を高くし、ゆっくり戻します。

注意点:腰が丸まらないように気をつけましょう。棒を使うことで、両腕の上がり方の左右差にも気づきやすくなります。

■ ⑤ 基本的な指の運動 手指の機能改善

目的:手指の機能改善

方法:①から⑩の指の形を真似しながら、できない動作を繰り返し練習します。

注意点:伸ばす場所と曲げる場所のメリハリをつけ、手首に力を入れすぎないようにしましょう。細かい動作がしづらくなってきたと感じる方への体操です。

■ どのくらいの回数・頻度で行うといい?

ストレッチや振り子運動は1回20秒から30秒程度を数回、肩甲骨回しや指の運動は10回前後を目安に、痛みのない範囲で行ってください。肩は可動域が広い分、無理な方向に動かすと痛みを誘発しやすい関節でもあります。「気持ちよく伸びる」範囲を守りましょう。

■ 肩の痛みがあるときは自己判断で行わない

肩関節は、痛みの原因によって行ってよい体操とそうでない体操が分かれることがあります。特に振り子運動などは、炎症が強い時期に行うと逆に痛みを増やしてしまうこともあります。五十肩は経過の時期によって痛みの出方や可動域の制限が変化していくため、同じ体操がずっと合うとは限りません。

当院では、画像検査やエコーで原因を確認したうえで、理学療法士が体操の種類や順番を調整していますので、痛みの種類や時期に応じて、リハビリの際に指導を受けたうえで取り入れることをお勧めします。次回は、機器を使った運動と顎の体操をご紹介します。

この記事の執筆・監修

著者のプロフィール画像

寺田 哲Satoshi Terada

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医師/麻酔科専門医・ペインクリニック専門医

「痛み痺れを諦めない」をモットーに、日々診療にあたっています。最新のエコーガイド下治療やVR治療など、医学の力で患者さんの日常を取り戻すためのヒントと、日々の学びを綴ります。

略歴・資格

  • 2008年 埼玉医療センター麻酔科
  • 2014年 NTT東日本関東病院 ペインクリニック科
  • 2016年 静清リハビリテーション病院
  • 2019年 三島総合病院 ペインクリニック科 医長
  • ペインクリニック専門医 / 厚生労働省 麻酔科標榜医 / 健康スポーツ医

専門・研究

超音波ガイド下治療やVR治療の最前線で活動し、多くの学会(日本整形超音波学会、日本ペインクリニック学会、日本VR医学会等)でシンポジストや基調講演を務める。

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