前回は腰・背中の体操をご紹介しました。第2回は、お尻から脚にかけての筋力とやわらかさを保つための体操です。歩く・立つ・階段を上るといった毎日の動作は、お尻や脚の筋肉の状態に大きく影響されます。
■ 下肢の筋力とやわらかさが歩行を支える
膝や股関節の痛みがある方の中には、痛みをかばって動くうちに、お尻や脚の筋力が落ちてしまっているケースが少なくありません。筋力が落ちると、さらに動かしづらくなり、痛みが長引くという悪循環につながることもあります。当院のリハビリでも、痛みの治療と並行して、これらの筋肉を維持・強化する運動療法を取り入れています。
「歩いていると途中で脚が重く感じる」「階段の上り下りがつらい」——診察でよく聞くこうした声の背景には、お尻や脚周りの筋力・柔軟性の低下が関わっていることが多くあります。今回ご紹介する体操は、そうした日常の動きを少しでも楽にするための内容です。
■ ① お尻上げ お尻と太ももの筋力強化
目的:お尻と太ももの筋力強化(ハムストリングス・大殿筋・大腿四頭筋)
方法:仰向けに寝て手を体の横に置きます。お尻と腰を持ち上げ、ゆっくり下ろします。
注意点:持ち上げた際にお尻から背中が一直線になるように、顎を上げないようにしましょう。膝の痛みをかばって歩く方にもおすすめです。
■ ② もも裏ストレッチ(座る) もも裏の柔軟性向上
目的:もも裏(ハムストリングス・腓腹筋)の柔軟性向上
方法:片脚を前に伸ばして座り、骨盤を起こした状態で体を前に倒してキープします。
注意点:おへそを前に出し、つま先を立て、背中を丸めないようにしましょう。座り仕事が多く、もも裏が硬くなりがちな方に向いています。
■ ③ スクワット 太ももと臀部の筋力強化
目的:太ももと臀部の筋力強化、代謝向上
方法:肩幅に足を開いて立ち、息を吐きながらお尻を後ろに突き出すようにゆっくり膝を曲げ、元に戻します。
注意点:4秒かけてしゃがみ、4秒かけて立ちましょう。つま先と膝は同じ方向に、膝がつま先より前に出ないように、つま先が浮かないように気をつけてください。スクワットは、太ももやお尻の筋肉をまとめて使える体操で、立ち上がりや階段の上り下りが楽になることを目指しています。
■ ④ ふくらはぎストレッチ(立ち) ふくらはぎの柔軟性向上
目的:ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の柔軟性向上
方法:まっすぐ立ち、片脚を一歩前に出します。良い姿勢のまま体を前方に移動させます。
注意点:体の力を抜き、踵が浮かないように。ふくらはぎの張りを感じたところで止めましょう。立ち仕事の方の脚のむくみ・張り感にもおすすめです。
■ ⑤ 踵上げ ふくらはぎの筋力強化
目的:ふくらはぎの筋力強化
方法:机や壁に軽く触れ、肩幅に足を開いて立ちます。母趾球を意識してつま先立ちし、ゆっくり踵を下ろします。
注意点:腕に力を入れすぎず、ゆっくり行いましょう。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、血流を促すポンプの働きも持っています。
■ どのくらいの回数・頻度で行うといい?
ストレッチは20秒から30秒程度のキープを1セットから2セット、スクワットや踵上げのような筋力トレーニングは10回前後を1セットから2セットから始めるとよいとされています。最初から回数を欲張る必要はありません。翌日に強い筋肉痛が残るようなら、回数や負荷を減らして調整してください。
■ 歩き方のクセは、自分では気づきにくい
膝や股関節の痛みがある方は、痛みをかばうために、知らないうちに歩き方や体重のかけ方が変わっていることがあります。今回ご紹介した体操は一般的な目的別の体操ですが、実際にどの筋肉が弱くなっているか、どの動きで痛みが出やすいかは、一人ひとり異なります。
当院では、診察や動作の確認をもとに理学療法士が運動療法の内容を調整しています。歩き方は自分では気づきにくいものですので、「最近歩くのが遅くなった気がする」「片側だけ疲れやすい」といった変化を感じたら、リハビリの際にぜひ確認してみてください。次回は、肩・腕・手の体操をご紹介します。

