2026年 08月 30日
このたび当院に、超音波画像診断装置「V5」が導入されました。これをきっかけに、エコー(超音波)を軸にした当院の新しい取り組みを、まとめてご紹介したいと思います。
V5とは
V5は、運動器診療向けの高度なAI機能を備えた超音波画像診断装置です。神経や周辺組織をより鮮明に、より安全に確認しながら治療できることを目指して導入しました。
- NerveTrack™:ディープラーニング技術により、スキャン中にリアルタイムで神経の位置を自動検出する機能。正中神経・橈骨神経・坐骨神経など9種類の神経に対応しています
- HQ-Vision™:画像の不明瞭な部分を軽減し、鮮明度を高める機能
- MV-Flow™:微小・低流速の血流まで可視化できる機能
- NeedleMate+™:神経ブロックなどの処置の際、針先の位置をより明瞭に確認できる機能
特に神経ブロックなどのインターベンション(処置)を行う際、「今どこに針があるのか」「神経がどこを走っているのか」を正確に把握できることは、安全性と精度に直結します。当院では整形外科・ペインクリニック・リハビリテーションの各場面で活用していきます。
そちらに伴い、新しい治療法のレパートリーが増えました!
■ 切らないばね指治療——超音波ガイド下腱鞘切開
ばね指(指の腱鞘炎)に対しては、超音波(エコー)で腱・血管・神経の位置をリアルタイムに確認しながら、針で腱鞘を切開する治療を行っています。
メスを使って皮膚を大きく切る従来の手術とは異なり、皮膚への負担が少なく、傷跡も残りにくいのが特徴です。エコーで組織の位置を確認しながら行うため、血管や神経を避けて安全に処置を進めやすいというメリットもあります。日帰りで受けていただける処置ですが、効果には個人差があり、症状や指の状態によっては他の治療法をご提案する場合もあります。基本的には翌日から仕事の復帰も可能ですが、詳しくは診察の際にご相談ください。
■ アキュリアン——変形性膝関節症の新しい痛み治療
アキュリアン(Accurian)は、高周波の電流を使って膝周囲の末梢神経(膝関節を支配する感覚神経)に熱刺激を与え、痛みを伝える神経の働きを抑えることを目的とした治療機器です。エコーで神経の位置を確認しながら細い電極を神経の近くに進め、高周波で熱を加えることで、痛みの信号が伝わりにくい状態をつくることを目指します。
主に、手術の適応とならない変形性膝関節症による慢性的な膝の痛みまたは、手術をしたくないご高齢の方向きの最新の治療方法です。これまでの保存療法(リハビリ・注射・内服・インソールなど)では十分な効果が得られなかった方を対象としています。2026年2月26日より、一定の条件(所定のトレーニングを修了した医師が行う等)を満たす場合に保険適用となった、まだ国内でも広く普及しているとは言えない段階の新しい治療法です。すべての方に適応があるわけではなく、効果にも個人差があります。ご自身が対象となるかどうか、また保険適用の条件を満たすかどうかは、診察の中で丁寧に確認させていただきます。
■ エコーを軸に、これからも
今回ご紹介した2つは、いずれも「超音波で見ながら、正確に、体への負担を抑えて治療する」という考え方でつながっています。新しい機器や治療法を取り入れること自体が目的ではありませんが、患者さんにとってより安全で負担の少ない選択肢を増やせるのであれば、これからも積極的に取り入れていきたいと考えています。
気になる症状がある方は、まずは診察でご相談ください。



