治療の解説

特殊治療 多血小板血漿PRP療法(11)

2023年 12月 04日

皆さま、寒くなってきましたね。風邪をひかないようにお気をつけください。さて、今日は自由診療のPRPについてお話しします。

多血小板血漿(PRP)による治療とは

人間の血液には赤血球、白血球、血小板と3つの要素があります。PRPはその血小板の力を使い傷を治癒する方法です。血小板が少ない方では血が止まりにくく傷の治りも遅くなります。

怪我したとき、例えば捻挫や肉離れのようないわゆる外傷が起きた場合。その部分が腫脹(腫れる)します。この腫れは皮膚の下で出血したことによるものです。この時に血小板から傷んだ組織の修復を促進する物質(成長因子)が供給され、傷んだ組織を元通りに直そうとする自己治癒機転が働いています。

つまり、先週お話しした3つの疼痛の病態

①侵害受容性疼痛

②神経障害性疼痛

③痛覚変調性疼痛

のうち①の侵害受容性疼痛に効果があるということになります。



当院では、ご自身の血液を約20mlとり、遠心分離機を用いて血液中の血小板が多く含まれる部分のみを抽出し、自己PRPを作ります。

このPRP中には、成長因子が豊富に含まれますので、傷んだ部分に注射することにより、その部分の組織の修復が促進され、"早期治癒"や"疼痛の軽減"効果をもたらします。

 

この様に当院では主に肉離れや捻挫、打撲などに使用させていただいておりますが、一番多くは変形性膝関節症に対しても行わせていただいております。

 

変形性関節症では、姿勢や歩行の習慣により加齢と共に軟骨がすり減り、半月板が傷み、炎症が起きてひざに水がたまったりします。

 

変形性膝関節症に対してPRPを行うためには、完全に軟骨が無くなってしまった部分にPRPが軟骨を作ることは不可能ですので、したがって完全に軟骨が無くなってしまった症例にはあまり積極的に勧めてはおりません。

しかし、骨どうしがぶつかり合い骨も削れてしまいO脚が進行しますが、PRPはそれを抑制することは可能と考えられていますので行う場合もあります。

 

当院では、まずはリハビリとインソールなどの装具、そしてヒアルロン酸治療を行い経過を見てから、改善しない場合のみPRPを勧めています。進行が著しい場合には手術も勧めていますが、基本的に保存療法を試みます。

 

PRPは自分の血液ですので、薬物のように副作用を起こすことは滅多にないというのも、この治療が欧米でも広く支持されている理由の一つです。

当院では、まだ行って間もないですが、私が非常勤として勤務していた清泉クリニック整形外科で行っていた感覚では、良くなる確率は5割といったところでした。

 

治療の費用とスケジュール

PRP療法は、先週のブログの動注療法と同じく、日本ではまだ保険診療として認められていません。そのため、治療を受ける方は自由診療となります。PRP療法実施のために採決なども事前に行いますが、そちらも自費となり、当日の痛み止めや湿布の処方、すべて自費となりますのでご注意ください。
詳しくは、当院ホームページの費用のところをご参照ください。

 

この様に、当院では侵害受容性疼痛に対して

動注療法とPRPという2つの特殊治療をご用意しておりますので、お気軽にお声かけください。

さて、来週は神経障害性疼痛に行うの特殊療法治をお伝えいたします。

この記事の執筆・監修

著者のプロフィール画像

寺田 哲Satoshi Terada

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医師/麻酔科専門医・ペインクリニック専門医

「痛み痺れを諦めない」をモットーに、日々診療にあたっています。最新のエコーガイド下治療やVR治療など、医学の力で患者さんの日常を取り戻すためのヒントと、日々の学びを綴ります。

略歴・資格

  • 2008年 埼玉医療センター麻酔科
  • 2014年 NTT東日本関東病院 ペインクリニック科
  • 2016年 静清リハビリテーション病院
  • 2019年 三島総合病院 ペインクリニック科 医長
  • ペインクリニック専門医 / 厚生労働省 麻酔科標榜医 / 健康スポーツ医

専門・研究

超音波ガイド下治療やVR治療の最前線で活動し、多くの学会(日本ペインクリニック学会、日本VR医学会等)でシンポジストや基調講演を務める。

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