日常・コラム

本から学ぶvol2

2025年 11月 10日

皆さんこんばんは!

昨日は岡山までプラセンタ学会へ行って参りました。自分の中でもプラセンタの明確な機序を説明する事は出来なかったのですが、今回の学会で基礎研究の発表がありかなり知見を得られたので後日まとめてみます。

さて、本から学ぶのコーナー

『脳を鍛えるには運動しかない』×『運動脳』

――「動くこと」が脳と心を救う理由

健康の三本柱といえば「睡眠・食事・運動」。
中でも「運動」は体力づくりのためだけと思われがちですが、実は“脳を整える最強の方法”でもあります。今回は、そのことを科学的に示した2冊――ジョン・J・レイティ著『脳を鍛えるには運動しかない』と、池谷裕二著『運動脳』――をあわせてご紹介します。

どちらの本も共通して伝えているのは、「運動は脳を直接変える」という事実です。
ハーバード大学のレイティ博士は、運動によって脳内にBDNF(脳由来神経栄養因子)が分泌され、神経細胞の成長やネットワーク再構築が進むことを示しました。BDNFは“脳の肥料”とも呼ばれ、学習・集中・感情制御のあらゆる基盤になります。
つまり運動とは、筋肉を鍛える行為ではなく、「神経回路のメンテナンス」そのものなのです。

一方で『運動脳』の池谷先生は、日本人の生活習慣に即してこの理論をよりわかりやすく説明しています。
たとえば「運動をするとストレスホルモンであるコルチゾールが下がり、代わりにセロトニンやドーパミンが増える」「海馬が活性化して記憶力が上がる」「ネガティブな情報処理が減る」など、脳科学的メカニズムを豊富な実験データで裏づけています。
池谷先生が強調するのは、“少し息が上がる程度の運動を継続すること”。
10分のウォーキングでも、脳の血流と神経活動は明確に変化することがわかっています。

診療の現場でも、この「動かすことで脳が変わる」現象をしばしば感じます。
慢性痛やうつ傾向のある方は、運動量が減ることで交感神経が優位になり、脳の可塑性(柔軟に変化する力)が低下します。
しかしウォーキングやストレッチを継続すると、痛みの知覚が穏やかになり、表情や声のトーンが変わっていく。
これは単なる気分の問題ではなく、脳が文字通り“再構築”されている証拠です。

2冊を通してわかるのは、運動は「脳を鍛える最高の投資」であるということ。
特別な道具もお金もいりません。
1日30分のウォーキングが、集中力を高め、ストレスを和らげ、痛みを軽くする。
まさに、最も手軽で確実なセルフメディケーションです。

「疲れているから運動できない」ではなく、「運動しないから脳が疲れる」。
まずは今日、10分だけ歩いてみましょう。
あなたの脳が、それだけで少し軽く、明るくなるはずです。

この記事の執筆・監修

著者のプロフィール画像

寺田 哲Satoshi Terada

InstagramFacebookNote

医師/麻酔科専門医・ペインクリニック専門医

「痛み痺れを諦めない」をモットーに、日々診療にあたっています。最新のエコーガイド下治療やVR治療など、医学の力で患者さんの日常を取り戻すためのヒントと、日々の学びを綴ります。

略歴・資格

  • 2008年 埼玉医療センター麻酔科
  • 2014年 NTT東日本関東病院 ペインクリニック科
  • 2016年 静清リハビリテーション病院
  • 2019年 三島総合病院 ペインクリニック科 医長
  • ペインクリニック専門医 / 厚生労働省 麻酔科標榜医 / 健康スポーツ医

専門・研究

超音波ガイド下治療やVR治療の最前線で活動し、多くの学会(日本ペインクリニック学会、日本VR医学会等)でシンポジストや基調講演を務める。

最新記事